いろんなモノやサービスの評価基準として「コスパが高い」という表現がよく耳にするけど, 適当に使われている気がしたので少し掘り下げてみた. といっても大したことは言っていないので期待しないで.
コスパ=コストパフォーマンスとは
コスパとはコストパフォーマンスの略で, 費用対効果とも言われる. コストあたりのパフォーマンスであり, コストはお金や時間, パフォーマンスは性能や成果(お金)など広い範囲で用いられる.
投資や何かを買うときに一番少ないコストで一番高いパフォーマンスを得るための選択肢の判断材料として有用.
グラフでいうと?
グラフにすると下図のようになる. 上に凸の形で極大値が一番コスパが高い.
コストあたりのパフォーマンスが一番高いので, 一番”お得”ということになる.
ここでのコスパは相対的に比較するための指標であって, 大きいか小さいかは重要ではない.(コストもパフォーマンスもお金だったら絶対値も重要)
「コスパが高い」とは具体的にどういうこと?
具体的にCPUを例にグラフ化すると下図になる. パフォーマンスはCPUの総合的な性能を示す値(ベンチマーク)を用いた.
単にコスパで選ぶなら一番値が大きい”AMD Ryzen 5 2600″が最適解ということになる.
分かりやすい. コスパはこのように数値として明確に判断できる.
コスパが高い=最良の選択ではない
確かにコスパで選べば一番”お得”なモノがどれか分かる. でも実際は目的や用途に応じて何がどれくらい必要かを考えて選ぶことになる.
パソコンで言えば「動画見られればいい」とか「動画編集・ゲームをしたい」とかで, 求めるCPUの性能は変わってくる. そしてそれを満たす製品の中で一番コストの低い, お得なモノを選びたくなる.
となると,「パフォーマンスに”重み付け”がされている」状態と考えられる.
※実際には, CPUの性能だけではなくストレージやメインメモリ, 拡張性などについてそれぞれ考える必要があるが, ここではCPUのみに絞った.
”重み付け”をグラフにすると下図のようになる.
重み付けA:ある程度の性能であればなんでもいい
重み付けB:バランス型
重み付けC:しょぼいのはいらん. 一番性能が高いモノがいい
この重み付けを掛け合わせると, CPUのコスパはそれぞれ下図になる.
重み付けAでは, 単純にコスパで選んだ場合と変わらず最適解は”AMD Ryzen 5 2600″となる.
重み付けBでは, 最適解は”AMD Ryzen 5 5500″となり単純にコスパで選んだ場合と異なる. “AMD Ryzen 5 2600″の値かなり低くなり, 恐らく選択肢に入らない.
重み付けCでは, 右肩上がりのグラフとなり最適解は”AMD Ryzen 9 5900X”となる. 単純にコスパで選んだ場合と異なる.
このように重み付けをすることによって目的や用途によって最適解を抽出することができる.
コスパで選んだ場合と目的や用途で選んだ場合では最適解が同じとは限らない. そもそも目的を果たすために何か買うのであって, 一番”お得”な選択は最良の選択とは言えない. (当たりまえ)
さらにこれらはCPUという一つのパラメータに対しての判断であって, パソコンを選ぶ場合にはCPU以外の多くの要素が絡んでくる. そこにも要素ごとの重み付けがあってやっと総合的な判断が可能になる.
また, この”重み付けをしたコスパ”という指標は「目的の満たし具合とコストのバランス」を示すので, 要するにその人の”欲しい度”を表しているとも言える.
でも実際は選ぶの面倒だからとりあえずお得なコスパ高いやつで良いや, という人が多いんでしょうね.
分かったこと
- コスパに”重み付け”を掛け合わせることで理論的には最良の選択をすることができそう
- コスパが高いモノは”お得”というだけで用途や目的を最大限に果たそうとするモノではない(最良の選択になるとは限らない)
- 大事なのは単純なコスパではなく, 自分は何がどれだけ欲しいのか.